一般事務と同じ内容の業務と法律事務独自の業務がある
私が法律事務所に就職した当時、法律事務と一般事務はかなり違うという内容の記事を、インターネット上でよく見かけることがありました。
「一般事務を経験していても、法律事務では目新しいことばかり。逆に、法律事務経験があっても、企業で働く場合はほぼ使えない。」といった内容です。
法律事務所の事務仕事は、一般事務と同じ下記のような業務もたくさんあります。
- 電話応対
- メールの送受信
- 弁護士のスケジュールに関する業務
- 預かり金や事務所費用の管理
- 事務所内で使用する文具等の購入、管理
一方、法律事務特有の事務仕事では、
- 事務所にかかってくる相談予約、債権者である金融機関、依頼者、裁判所などへの対応
- 裁判所への申立書類に関する資料づくり
- 担当する依頼者の事件について進捗確認、管理
- 費用を積立している依頼者への弁護士費用の督促(未入金の場合)
などがあります。
(ただし、業務内容は事務所によって異なります。)
裁判所へ提出する書類は決められたルールがある
私が、働き始めて最初に困ったのは、ルールにそって書類を作らなければいけないのに、これといったマニュアルがなかったことです。
一般事務でも、マニュアルが用意されていないことはあると思いますが、最初にやり方を教われば、後は少しずつやっていけばわかることも多いと思います。
でも法律事務の場合、裁判所に出す申立書類や事件の流れ、どうなったときにどのような書面をどこへ提出するのか、そのフォーマットは?など厳格にルールが決まっているのに、それがきちんとわかるように一つにまとめて記載されているものがないのです。
後になってからわかったのは、 個々の手続きについて参考になるものはあるのだけど、それらが関連づけられてまとめられているマニュアルのようなものがないということ。
そのため、一つ手続きするたびに調べたり確認したりという作業が必要になり、慣れないうちは本当に時間がかかってしまうのです。
私は新規立ち上げの事務所に1人事務員で採用されたので、聞ける先輩がいなかったという事情もありました。
結果的には、日々の業務の中で自分でマニュアルを作って覚えていくしかないと考え、(後から得た知識や情報をどんどん追加していけるように)ファイル形式のマニュアルを作って、1つ新たな業務を経験するとメモをとってはそこに投げ入れていきました。
次にその業務をする機会が巡ってきたら、そのファイルを取り出して放り込んであるコピー書類やメモを参考にして、手続きをします。そのときに新たな知識を得たら、またメモを入れておきます。これを繰り返してその業務についての情報がほぼ完璧に近くなったら、その業務だけのマニュアルを自分で作っていくという流れです。
このような手探りの経験は、それまでの一般事務でしたことはほとんどありませんでした。
あまり役に立たない法律事務職員実務講座というテキスト
マニュアルというと、最初に渡された「法律事務職員実務講座」という固い名前の研修テキストがあります。
検索してみると今でもありました!2011年9月改訂って、いつの情報だよ!とツッコミを入れたくなりますが、今も新しく法律事務員になられた方達はこの本を参考にされているのでしょうか・・・。
このテキストは、手続きの流れなどについては記載されていますが、ある程度業務に慣れた人が読む場合でも、肝心の申立書類のルールやフォーマットなどは、載っていたりいなかったり、古かったりなど・・・。これは、裁判所によって運用が違うという事情もあるようです。
それより役に立ったのが、弁護士会で行われる法律事務職員研修でした。
弁護士会に所属する法律事務所職員向けの研修会で、毎月異なるテーマ(業務内容)で実際の弁護士とベテラン事務職員がペアで研修をしてくれるのです。弁護士は、法律の観点から解説してくれて、事務職員は実務を説明してくれます。
ここでもらう資料を、自分で作ったマニュアルの業務別ファイルに入れて、よく見返していました。
新たな職場で生かされない経験などないと思う
私がインターネットで見かけた、法律事務と一般事務はかなり違うという内容は、両方の事務を経験してみて、8割くらいはその通りという印象でしょうか。
でも、畑が違うといっても、以前の経験が新たな仕事にほとんど使えないということはないと思っています。
現在企業で働いていて、法律事務所への転職を考えている方、逆に法律事務から一般事務へ転職しようと思っている方、どちらも前職の経験は必ずどこかで生かされるはずです!
もちろん、新卒で法律事務に興味がある方も、みんながんばれ〜!!応援してます!
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